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お前もか

Four Keysに期待していること

5. Accelerate by texta.fmを聴いてFour Keysの存在を知り、エピソード中に紹介されていたLeanとDevOpsの科学を読み始めたのが昨年の9月頃でした。

開発にだけフォーカスした数字ではなく、ビジネスも含めた数字だったことが興味を持ったきっかけです。 所属している組織でもFour Keysの計測してみようという話になっているので、計測することにどういった期待を持っているのかを整理してみようかと思います。

Four Keysとは

Four KeysとはDevOps Research and Assessment(DORA)が計測している4つの指標のことを言います。

  • 速度に関する指標
    • デプロイの頻度
    • リードタイム
  • 安定性に関する指標
    • 平均修復時間(MTTR
    • 変更失敗率

この4つすべての指標の計測結果が抜きん出ているハイパフォーマーは、その他のミディアム・ローパフォーマーよりも2倍以上も組織としてのパフォーマンスが優れていることが分かっています。
また、速度と安定性にはトレードオフがあるような気がしますが、ハイパフォーマーはすべての指標が高いということからも、トレードオフの関係性がないことが言えるようです。

2017年のソフトウェアデリバリのパフォーマンス

2017 ハイパフォーマー ミディアムパフォーマー ローパフォーマー1
デプロイの頻度 オンデマンド
(1日複数回)
週1回から月1回 週1回から月1回
リードタイム 1時間未満 1週間から1ヶ月 1週間から1ヶ月
平均修復時間 1時間未満 1日未満 1日から1週間
変更失敗率 0-15% 0-15% 31-45%

出典: LeanとDevOpsの科学[Accelerate] / Nicole Forsgren Ph.D. (著), Jez Humble (著), Gene Kim (著), 武舎広幸 (翻訳), 武舎るみ (翻訳) / インプレス

また、このFour Keysを改善促進する効果が高いと言われているケイパビリティ(機能や能力)も調査されています。2022年12月現在だと27のケイパビリティがあります。

2021年のレポートからは、この4つの指標に加えて「信頼性」という5つ目の指標も出てきています。

期待していること

ビジネスに貢献できているという安心感がある

ビジネスに対して良い影響が示されている指標なので、エンジニアの自己満足にならずに安心して数字を追い求めることができそうです。 また、このFour Keysの数字と会社の財務の数字を結びつけることで、エンジニアの取り組みを非エンジニアにも分かりやすく説明することができるようになるかもしれません。

開発者体験が向上しそう

Four Keysを追い求めるとなると、書籍名にも付いているようにLean開発手法を用いた開発にならざるを得ないと考えています。

サイクルタイムを縮めるためにバッチサイズを小さくすると、PRも小さくなり、レビューもしやすくなります。リソース効率を重視するのではなくフロー効率を重視することで、チーム内でのドメイン知識が均一化されて属人化も生まれにくくなります。結果的に、開発者体験が向上するのではないかと期待しています。

仮説・検証のサイクルを素早く回すことができる

Four Keysやサイクルタイムを計測して定量化することで、改善の取り組みが効果的なのかどうかを素早く・正確に判断することができそうです。 判断が素早くなると仮説・検証のサイクルをより多く回すことができるようになりそうだと期待しています。

おわりに

現時点でのFour Keysに対しての理解と期待していることを整理してみました。 計測を始めて、それをどのように活用して、どのように改善していったのか、を書けるようになることを目指します。

参考


  1. ローパフォーマーは大まかに成績が悪かったが、デプロイの頻度・リードタイムの中央値はミディアムパフォーマーと変わらなかった。